急性脊髄損傷の肺合併症

脊髄損傷後は、神経が損傷されるために呼吸が障害される

呼吸に、最も重要な「横隔膜」の役割
横隔膜は、特に息を吸い込むときに、特に重要な役割を果たしています。
横隔膜が収縮すると、横隔膜は下方に移動し、胸郭は広がります。
その結果、空気(酸素)が鼻と口から肺に吸い込まれ、肺や胸郭は膨らみます。
空気は、気管を通って肺胞に移動します
十分な空気を吸い込むと、横隔膜は弛緩して元の位置まで移動します。
その結果胸郭は小さくなり、胸郭や肺は縮小し、その過程で、二酸化炭素を含む息が鼻と口から吐き出されます。

呼吸補助筋の役割                                               私たちは、激しい運動をすると通常よりも多くの酸素を必要とし、そのため呼吸も激しくなります。
呼吸が激しくなるときや咳をするときには、通常の呼吸よりも強い筋力が必要になります。
横隔膜だけではこの力を生み出すことができず、呼吸を補助するために、他の筋肉の力が利用されます。
例えば、腹筋や肋骨の間の肋間筋、また頚部にある胸鎖乳突筋などが呼吸を補助する役割を果たしており、総じて呼吸補助筋とも呼ばれます。
特に咳をするときには、勢いよく息を吐くために、脳は腹筋と肋間筋の収縮を指示する信号を送っています。
これらの筋肉が使えなくなると、私たちは簡単に呼吸することができなくなり、咳やくしゃみもうまくできなくなります。

脊髄損傷と呼吸の関係                                             
脳から送られる信号は、脊髄が損傷されると損傷された部位を越えては伝わらなくなり、そのため脳は呼吸に使用する筋肉を制御できなってしまいます。
筋肉を制御できなくなる程度は、損傷の程度によって異なります。
通常損傷の部位が高い位置、つまり腰部よりも頚部であるほど、呼吸への影響は大きくなります。
横隔膜が影響を受けるレベルで損傷が生じれば、肋間筋や腹筋も影響を受けます。

頚椎損傷:C3より上位                                             頚椎のC3よりも高い位置に損傷が起こると、横隔膜が全く働かなってしまうため、完全に自力では呼吸ができなくなります。
また腹筋や肋間筋も収縮できなくなり、くしゃみや咳もできません。
生きるためには、人工呼吸器を利用して、絶えず呼吸をサポートする必要があります。

頚椎損傷:C4〜C5レベル                                           このレベルの損傷では、横隔神経(C3~C5)が脊髄を出るレベルでもあるので、一部の横隔神経が損傷を受けることもあり、そのため横隔膜の機能が多少残っていることがあります。
しかし残念ながら肋間筋や腹筋は全く働かないため、咳やくしゃみがうまくできなくなります。
そのため常時人工呼吸器が必要になる場合や、睡眠時など特定の時間帯だけ、人工呼吸器が必要になったりする場合があります。

頚椎損傷:C6〜C8レベル                                           このレベルの損傷では、すでに横隔神経が脊髄を出るレベルを過ぎているため、横隔膜はよく機能します。
しかし、残念ながら肋間筋や腹筋は全く働きません。
このレベルの損傷では、横隔膜にのみ頼った呼吸となるため、腹式呼吸となります。

胸椎損傷:T6~T12レベル                                           このレベルの脊髄損傷では、横隔膜と肋間筋は正常に動きます。
腹筋は働きますが、まだ十分な力を発揮できない場合があります。
したがって、咳やくしゃみをすることはできますが、受傷前より弱い状態であることが一般的です。

腰椎・仙椎損傷:L1 – L5、S1 – S4レベル                                    このレベル以下の脊髄損傷では、すべての呼吸筋が正常に機能します。
したがって、咳やくしゃみも普通にすることができます。

まとめ                                                    脊髄損傷と呼吸障害の程度について、損傷部位別にご説明しました。
咳やくしゃみは、痰を排出するのに特に重要です。
痰を排出することで、肺を健康に保ち、肺炎などの感染症を予防することができます。
脊髄損傷による合併症で苦しまないで済むように、再生医療の進歩に期待したいところです。

ちょっと、一息

ゴニオメーターの軸が伸縮するイクステンドゴニオメーターをご存じでしょうか?                これは、ゴニオメーターの基本軸と移動軸が自由に伸縮するため、関節の大きさに適合した長さのゴニオメーターで測定が可能になり、測定値がより正確になります。更に、両軸を伸ばすと最大長は53cmになり、大腿骨長も測れます。

          イクステンドゴニオメーターは5色の透明色があります                   

                    Cobb法による測定

基本軸・移動軸を自由に伸縮させ、湾曲に対しゴニオメーターを正確にあてがうことが出来る

                       Cobb角=25°

                  Ferguson法による測定

イクステンドゴニオメーターは透明色であるため、Ferguson法で椎体画像の上にゴニオメーターを置いたとき、椎体の中心にゴニオメーターの軸心を容易に合わせることが出来るので、従来のゴニオメーターよりもより正確な測定が可能となる。

                      側湾度=25°

透明のイクステンドゴニオメーターであれば、椎骨の中心に正確に当てることが可能なため、角度をより正確に測ることが出来る

              イクステンドゴニオメーター(アプリコット色)

                     膝屈曲角=57°

              イクステンドゴニオメーター(蛍光バイオレット色)

                      肘関節屈曲=86°

          イクステンドゴニオメーター(蛍光ローズ色)

                  底屈=43°

        頚体角をイクステンドゴニオメーターで測定(蛍光オレンジ色)

                    頚体角=136° 

  イクステンドゴニオメーターについて、詳しくはホームページの「商品紹介」をご覧下さい

      肘関節屈曲をイクステンドゴニオメーターで測定(蛍光グリーン色)

                    屈曲=92° 

詳細はホームページの「商品紹介」をご覧下さい

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この記事を書いた人

サンハローはゴニオメーターや動作モニター計の設計・製作・販売を行っております。

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