性機能障害
1⃣ 脊髄損傷者の性機能障害の現状
①勃起が可能 62% ②性交渉が可能な硬度と持続力ある勃起が可能 25% ③射精が可能 15%
男性脊髄損傷者の62%が ①勃起が可能 という回答ですが、 ②性交渉可能な硬度と持続的勃起が可能は25%です。さらに、③射精が可能は15%しかいません。
2⃣ 心因性勃起と反射性勃起 (脊髄損傷による勃起障害と射精障害,栗本浩行,2022.05.31)
(1)心因性勃起
視覚、聴覚あるいは触覚からの情報は視床下部を経て勃起中枢S2,3,4から出る副交感神経は骨盤内臓神経となって陰茎の海綿体の血管拡張を引き起こし、陰茎を膨張させる。同時に、S2,3,4から出る陰部神経(運動神経)は球海綿体や座骨海綿体筋の収縮を引き起こし、勃起させる。
心因性勃起が可能な脊損者は
核上型損傷の完全麻痺者 9% 不全麻痺者 48% 核下型損傷の完全麻痺者 24% 不全麻痺者 50% (脊髄損傷による勃起不全,初山,脊髄損傷,医歯薬出版,第12巻,p113参照)
損傷レベルごとの心因性勃起障害の割合
頸髄損傷 83% 上部胸髄損傷(Th1~6) 90% 下部胸髄損傷(Th7~12) 73% 腰髄損傷 75% (脊髄損傷による勃起障害と射精障害,栗本浩行,2022.05.31)
脊髄損傷者の心因性勃起障害は高率で現れる。
(2)反射性勃起
脊髄レベルでの勃起中枢はS2,3,4にあり、排尿・便と同様、核上型麻痺あるいは核・核下型麻痺により性機能は異なってくる。反射性勃起は陰茎等の刺激による信号が上行しS2,3,4の勃起中枢に到達したとき、反射的に陰部神経(体性神経)を介して陰茎を勃起させる。
反射性勃起が可能な割合
核上型損傷の完全麻痺者 92% 不全麻痺者 93% 核下型損傷の完全麻痺者 12% 不全麻痺者 0% (脊髄損傷による勃起不全,初山,脊髄損傷,医歯薬出版,第12巻,p113参照)
核上型麻痺の場合、完全麻痺でも不全麻痺でも90%以上の高率で反射性勃起は可能である。 核・核下型麻痺の場合は完全/不全麻痺に関わらず、反射性勃起の可能性は低率(10%程度以下)であった。
3⃣ 射精障害
射精は交感神経の刺激により起こる。腰髄L1,2から出る交感神経遠心性繊維は下腹神経叢を経由して、精巣、前立腺等に達し、射精を起こす。
4⃣ 性行為
性行為に関するアンケート (対象 128名)
①受傷後に性交渉の経験がある 49% ②性交渉がうまく出来た 25% ③未婚者で性的パートナーがいる 29% (脊髄損傷による勃起障害と射精障害,栗本浩行,2022.05.31) パートナーと良好な関係を結び、二人で工夫することで、性行為は可能です。
5⃣ 勃起障害への対応
(1)脊髄損傷による勃起障害の治療薬は、PDE5阻害薬が第一選択になります。
PDE5阻害薬は陰茎海綿体の血管拡張をサポートして、勃起を強く持続的にする。 国内で認可されている薬剤は ①バイアグラ ②レビトラ ③シアリス の3種類。
脊損者に対して、PDE5阻害薬の高い有効性と安全性は証明されています。 心因性もしくは反射性勃起が残存していれば有効性は高く、障害レベルによる差はない。
(2)プロスタグランディンE1海綿体注射
バイアグラなどのPDE5阻害薬で勃起の改善が乏しい場合に、プロスタグランディンE1陰茎海綿体注射の適応を検討します。
(3)陰圧式勃起補助器具
下図、左から ①水圧式 ②手動式 ③電動式 の3種類がある。
①水圧式は、陰茎全体に安定した陰圧を加えることが出来る。主に、勃起トレーニング用として湯を張った湯船の中で使用するのが多い。 ②手動式は、手動で陰圧を作る器具で、最も一般的です。 ③電動式は、バッテリー内蔵で、手動式よりもパワフルに陰圧を加えることが可能。
6⃣ 射精障害への対策
(1)塩酸ヨヒンビンが射精障害に有効。ヨヒンビン5mmgを性交の1時間前に服用で、60%が射精に成功した。 (2)陰茎亀頭部をバイブレーターで刺激により、高い確率で射精に成功したと言われている。
7⃣ 子作り対策
(1)子宮内人工授精(IUI)
性交渉以外の方法で妊娠する方法はある。排卵日当日に、運動良好な精子を顕微鏡で選び、細いチューブで子宮の中に注入します。精子が自力で卵管を泳ぎ、卵にたどり着くことで受精します。 (引用:アートクリニックHP)
(2)体外受精(IVF)
採取した精子と卵子をシャーレ内で受精させます。一定期間培養(体外培養)した受精卵を子宮内に戻します。
ちょっと、一息
ゴニオメーターの軸が伸縮するイクステンドゴニオメーターをご存じでしょうか? これは、ゴニオメーターの基本軸と移動軸が自由に伸縮するため、関節の大きさに適合した長さのゴニオメーターで測定が可能になり、測定値がより正確になります。更に、両軸を伸ばすと最大長は53cmになり、大腿骨長も測れます。
イクステンドゴニオメーターは5色の透明色があります
Cobb法による測定
基本軸・移動軸を自由に伸縮させ、湾曲に対しゴニオメーターを正確にあてがうことが出来る
Cobb角=25°
Ferguson法による測定
イクステンドゴニオメーターは透明色であるため、Ferguson法で椎体画像の上にゴニオメーターを置いたとき、椎体の中心にゴニオメーターの軸心を容易に合わせることが出来るので、従来のゴニオメーターよりもより正確な測定が可能となる。
側湾度=25°
透明のイクステンドゴニオメーターであれば、椎骨の中心に正確に当てることが可能なため、角度をより正確に測ることが出来る
イクステンドゴニオメーター(アプリコット色)
膝屈曲角=57°
イクステンドゴニオメーター(蛍光バイオレット色)
肘関節屈曲=86°
イクステンドゴニオメーター(蛍光ローズ色)
底屈=43°
右頚体角をイクステンドゴニオメーターで測定(蛍光オレンジ色)
頚体角=136°
イクステンドゴニオメーターについて、詳しくはホームページの「商品紹介」をご覧下さい
肘関節屈曲をイクステンドゴニオメーターで測定(蛍光ローズ色)
屈曲=91°
詳細はホームページの「商品紹介」をご覧下さい
コメント